アナログオーディオショウ2015に便乗して開催した、
「アナログレコードを自炊アーカイブしてオリジナルハイレゾ音源を作っちゃうおうぜ」イベントでございますが、
アナログとは畑違いのオリオスペックにも拘わらず、有難い事にこんなに多くの皆さまにお集まり頂いた次第。
<スタートの図>
<中締め直前の図 (予定より1時間半延長) お客さん、増えてるしw>
なんとまあ、予定を一時間半も延長した挙句、一旦中締めした後からもまた1時間以上の延長戦。
皆さん、帰らない。帰る気配すらないw
<まだまだやってますの図 (中締め後、1時間は過ぎてたじゃないかと )>
講師をお願いした鈴木さん、アツかったですね。全開でちょっと暴走気味ではありましたが、まあ一般の方ですもの。
鈴木節、ここに炸裂。思いの丈すべてを伝えて頂くのですから、そうなっちゃっても致し方ないよね、と思うのでした(笑)
このようなハプニング性、玄人筋の業界関係者さんや評論家先生とは異なる魅力と楽しさがございますね。
で、講師の意向もございまして、鈴木さんご自身がアナログレコードをアーカイブした自炊ハイレゾ、
お客様には存分にお楽しみ頂いております。とにかく目一杯演奏しましたので全てを記録できませんでしたが、
以下の曲は間違えなく流しております。ああ、選曲はやっぱり80'sアイドルマニアックス(笑)
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・セーラー服と機関銃:薬師丸ひろ子
・もう逢えないかもしれない:菊池桃子
・タッチ:岩崎良美
・少女人形:伊藤つかさ
・ビーナス:長山洋子
・春はsa-ra-sa-ra:長山洋子
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※すべて自炊ハイレゾ 24bit/192kHz Wave(講師の鈴木さん作成)
<オリオスペックで売ってる商品が、ManhattanとRITMOしかない!(笑)>
※なお、HARBETHは特注で対応できますよ。いいスピーカーです。
で、メインのアーカイブの実演は以下のハードを使ってみました。
▽プレーヤー
Victor QL-7 (Direct Drive・なんと美品!) + Audio Technica AT15Sa (VM/シバタ)
⇒ 70〜80年代の国産アナログ機は、マニア向普及価格帯でもこのレベル!
▽レコーダー
1.SONYのリニアPCM・ICレコーダー(市価2万円弱)+ エントリーラインのフォノイコ (Victor AC-S100)
⇒ フォノイコのOutputからICレコーダーのLINE INへ直結。ここは当然マニュアルレベル設定
2.TASCAM DA3000 + LINN INTEKのフォノイコ
⇒ プリメインアンプのTape OutからレコーダーのLINE INへ接続。勿論マニュアルレベル設定
▽お題
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少女A:中森明菜
スローモーション:中森明菜
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⇒ これ、ピクチャー盤。なんとも懐かしい
<カワイイ!>
リーズナブルなICレコーダーとリーズナブルなフォノイコ、結構しっかりしたサウンドでした。
会場の評判はなかなか上々。試聴はICレコーダーのヘッドフォン端子を経由して行いましたが、
もしこれをPC+USBDACに変えたとしたら、もっとパフォーマンスがあがったんじゃないかと思います。
TASCAM DA3000を使用する場合では、レコーディングに伴うコツを解説して頂きました。
例えば、レベル調整のポイントであったり、カートリッジの選択であったり、物理結線についてだったり。
これらすべて、“RECレベルの調整を適切且つ有利に実現するのにはどう考えるのか?”、が主なポイントでした。
今回のデモでは、テクニカの顔とも云えるオールドなVMカートリッジ(AT15)をチョイスしてるのですが、
MM系らしいスカッとした抜けるその特徴が良く出ておりましてね。
成果物は、このプレーヤーで再生したアナログレコードそのままをパッケージした感覚。
たまに乗る軽いスクラッチノイズも含めて、まさにあの頃の明菜ちゃん。
これ、自炊ハイレゾの大きな特徴でありましょう。
会場にいらっしゃる皆さんの反応を伺いますと、あんまりにも簡単にアーカイブ出来ちゃいますし、
しかも成果物のクオリティはなかなか目を見張るものがありますので、皆さん結構驚いておられました。
中には、PC+Sound I/F+サウンド編集ソフトのスタイルで既にアーカイブなさっている方もいらっしゃいましたが、
このようなPCベースで手間暇を掛けておられる人の方が、あまりの手軽さによりビックリされていたみたいです。
また、これらの自炊ハイレゾと実際に販売されているプロが制作したハイレゾ音源との比較試聴も行ってみました。
▽お題
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赤いスイートピー: 松田聖子 (自炊DSD64 <SONY PCM-D100利用> vs mora版 PCM24/96FLAC)
ピンクのモーツァルト: 松田聖子 (自炊DSD64 <SONY PCM-D100利用> vs mora版 PCM24/96FLAC)
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▽再生系
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PC:Oliospec RITMO DSD PLAY + HQPLAYER3
USBDAC:Mytek Digital Manhattan DAC
AMP:LINN INTEK
SPEAKER:HARBETH MONITOR 30.1
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当たり前と言ったらそれまでですが、やはりサウンド基調に違いがあるのです。
「いい・わるい」「すき・きらい」という観点は置いておいて、テイストの違いといいましょうかね。
フォーマットやサンプルレートの差を考慮したとしても、
自炊アーカイブはリリースされた当時のアナログテイストな雰囲気をふんだんに感じます。艶がテカテカ。
プレーヤーやカートリッジの特徴もしっかり乗ってますよ。やっぱり当時聴いたアナログレコードそのままって感じ。
対し、プロ制作のハイレゾは、描写をより明確にしたメリハリのある今っぽいサウンド。タイトでちょっぴりドライ。
少々強めな高域の特徴から推測しますと、一般的なハイレゾのイメージってこういうものなのかもしれませんねえ。
この差を思いますと、自炊ハイレゾというのはフォーマットやサンプルレートの選択をも含めて
“とことんマイオリジナルに染める事が出来る”、という点が魅力となるのでしょう。
<知らない人は見て!見て! これがピクチャー盤です>
鈴木さん、アナログレコードの基礎的な知識についても触れておられましたね。
アナログレコードは、お皿の外周と内周の特性を理由にサウンド上の観点で有利不利が出るわけです。
ハイ、ここまでは「皆さん大変よくご存知」的内容でございます。で、この理屈と特徴なのですが、
レコードの制作現場では、踏まえてどのように板へと反映させていたのか?という裏側のお話をしてくださいました。
また、外盤と国内盤の音質差もよく語られる話で、カッティングレベルの差がその主な要因と言われておるのですが、
何故そのような差異が発生したのか? 、当時の制作現場の実話を元に解説してくださいました、
そんな、その仕事に就いた方でしかわからない深いエピソード、ふんだんに盛り込まれておった次第。
そうそう、もっとライトなネタもありましたよ。
伊藤つかささんのレコーディングのネタや長山洋子さんのエピソードも。これもなかなか面白かったです。
80年代アイドルマニアな皆さまは、さぞシビレタことでありましょう(笑)
これらの内容のすべて、オリオスペックのイベント会場にいらした皆さんだけにお届けいたしました。
この話、ここでは公開致しかねます。ごめんなさい。ええ、大人の事情です(笑)
また、鈴木さんの心底愛する80年代国産DDターンテーブルへの想いを伺っていますと、
「ああ、ジャパニーズオーディオの黄金時代ってキラキラ輝いてたんだなー」としみじみ感じるのであります。
いわゆるスーパーアナログ到来の期。実際、中締め後はこの時代の国産オーディオの話に花が咲いた次第。
ああ、いい時代だったのねえ。
なんだろう・・・今回の内容はオリオスペックのイベントというよりも、
アナログスペシャリストな店舗さんによるイベントっぽかったかもしれませんね(笑)
たまにはこういうオーディオ的に広い視点を持ったイベントもいいですね。
永遠のアナログレコードを通じた自炊ハイレゾの魅力、とてもよく伝わったんじゃないかしら。
アナログマニアな皆さま、あなたの愛するアナログレコードもそのままのテイストでハイレゾ化出来ますよ
ハイレゾファンの皆さま、アナログレコードも楽しいです。メカニクスで構成されるオーディオの魅力をどうぞ。
これがイチバン大事な事。アナログは音が悪いって思ってる方、それは大きな誤解ですからね(笑)
いろんなフォーマットが同時楽しめる時代ですもの。折角ですから満喫させてもらいましょうよ。
今回ご参加頂きましたすべてのお客様、並びに、ご協力頂いたすべての関係者の皆さまに心よりお礼申し上げます。
来年もアナログオーディオフェアが盛り上がりますように。
また、ハイレゾを含めたオーディオ全体が盛り上がりますように。
以上となります。